T+1に関する英国の考え方 ー 国際的・国内的な課題を前にして
取引日+2日(T+2)決済からT+1決済に移行する2024年5月28日は、英国の市場参加者にとって大きな懸念材料となっています。Torstone TechnologyとFirebrand Researchが主催したパネルディスカッションでは、セルサイド、バイサイド、サービスプロバイダーの市場関係者が、決済のスピードアップと市場間の差異がいくつかの予期せぬ結果を生むという基本点で合意しました。
移行の最終的なビジネスケースはまだ有効です。時間の経過につれて、T+1は自動化とデジタルトランスフォーメーションの強化により、市場の効率を改善し、取引後のプロセスを合理化すると思われます。
しかし、特に英国では、短期的な痛みを伴うことも考えられます。
英国から見た市場関係者は、国内の4つの懸念点を予想しています:
● オペレーションや 技術的なハードル:参加者は、決済サイクルが短縮された世界では、証券取引後の業務を可能な限り効率的かつ自動化する必要があることに同意しました。主な懸念事項としては、ミドルオフィスの確認とアロケーション処理のひっ迫、アセットサービシングの変更、証券貸付のフローの乱れなどがあります
● グローバルな不整合性と複雑性:北米でのT+1への移行に伴い、 地域外の企業は、グローバルな事業展開の中で連携を図る必要性に迫られています。参加者が指摘したように、一部の米国企業はすでにタイムゾーンの問題に対応するための動きを見せています。しかし、中堅・中小の国際的に活躍する企業は、変化に迅速に対応できなければ、ビジネスを失うことになると懸念しています。
● バイサイドの参加:参加者は、バイサイドのT+1移行への取り組みと準備が重要であるとの見解を示しました。バイサイドの多くは、決済サイクルをブローカーやカストディアンが解決すべき問題だと考えています。しかし、非効率性が高まると、バイサイドが市場環境に対応し、最終的に投資家を満足させる能力が低下することになります。
● コスト: T+1決済サイクルに必要な構造的、オペレーション、技術的な変更を実施するためのコストは、市場参加者の間で重要な懸念事項となっていました。セルサイドは、バイサイドの顧客にコストを転嫁するか、それらの直接・間接コストを吸収するかという難しい選択を迫られる可能性があります。
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